=第八章・第十一部=

=[超時空要塞MACROSS/地球、そして…]=

 

「…!!」真っ白い閃光が輝と合流した俺達の上を通過し、…マクロスを穿っていく光景を目の当たりにした。
「エマ、無事か!!」
 俺は急いでマクロスへ通信を送るも、一瞬、通信に乱れが起きたが、エマがモニターに映る。
「は…はい…、大丈夫…です」頭を振り、めまいを振り払うしぐさを見せるエマを見て、生きていたことに安堵した。
「今の攻撃で、マクロスの主砲が大破しました。…」
 しかし、絶望は変わらない…。主砲の消滅は、マクロスの最大戦力を失うことに等しい。
「くそぅ、…このままじゃ…」
 軽い被弾を受け、心もとない飛行を続ける輝が口元をゆがめた。
「…!こちら、アポロリーダー!!これより、敵旗艦に攻撃を仕掛ける!!」
「そ、そんな!!無茶です!!」
 決意を持ち、俺は指示を仰ぐが、エマは取り乱し、俺の意見に拒否を示した。
「また、あれを打ち込まれたらどうする!!それを防ぐ術はあるのか!!エマ!!」
「!!…」俺の反論にエマは口を一瞬噤んだ。が、…
「それでも、無茶すぎま…」
 さらに反論しようとしたエマ。…の言葉が止まった。

 …歌が聞こえる…

「なんだ…これ」
 エディが辺りを見回す。

 …歌詞はなく、鼻歌のようなメロディばかりの歌が響く…

「これは…ミンメイの…」
 ブルースも、周囲に視線をめぐらした。

 …歌と共に、メルトランディ軍の攻撃の手がやんだ…

「まさか、ミンメイが…生きてる」
 輝は呟き、空を見た。

 …次々にメルトランディの機体が戦線を離脱をし、そして敵旗艦が消えた…

「…」
 俺は言葉もなく、モニターに映るエマを見た。エマも同じ心境なのだろう…。
「アポロリーダー」
 何かを言おうとしたエマを遮るかのようなタイミングで、不意に…影が落ちる。
 取り残されたヴァルキリー乗りとマクロスの軍人が空を見る。
 太陽を覆うものがそこにそびえていた。
 夏の入道雲を思わせるが…それは入道雲ではない。
 大きな船…そう…月のサイズほどの大きな船が地球の大気圏ぎりぎりの宇宙に浮いているだろうが、まるで地上に浮かんでいるようにも見えるほど大きく、…それが影を落としていた。

「これは、…」エディが呟き、「ゼントラーディ軍の艦隊か」ブルースは声色なく、呟いた。
「…はっ…、地球を滅ぼすのなんて、簡単に出来そうなサイズだな…」
 俺も皮肉を交えて…そううそぶいてみせる。

 …歌が終わる…そして、全回線を通して、…通信が入った。

「われわれは、ゼントラーディ軍、ボドル基幹艦隊…われわれは、マイクローンとの和平を申し出る」

「…クククッ、…」通信は空に浮かぶ、要塞からのもののようだ。
 相手は既にこちらの言語も翻訳が出来るのだろう。電気音声的に近いその単語でもって、…和平を結ぼうと申し出てきたのだ。…
「…和平ね…」俺は、ただ笑った。おかしくて笑った。もちろん、笑えない冗談にも思えたが、自然と笑った。
「自分を自滅させてでも戦おうって言う輩が、和平、なんて…俺は信じれないな…」
 その言葉に誰一人、返しはしなかった。…

 …ボドル基幹艦隊からの和平の通信が繰り返されるように流される。
 …太陽を覆い、地球に黒い影で染めながら、…

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