=第九章・第二部=

=[超時空要塞MACROSS/ボドル基幹艦隊]=

 

 これは、楽観視をする者以外の誰もが予測しえた事態だろう。…
 これは、マクロスを守り続けた軍人ならば、誰もが想定しえた物事だろう。…

 この地球にメルトランディ軍の基幹艦隊の一つがフォールドアウトをしてきた。
 ボドル基幹艦隊との一戦を交えるべく、…

 ただ、ゼントラーディの持ちかけた和平の材料となっていた、歌は未完成であり、リン・ミンメイもまた行方を失った。
 ボドル基幹艦隊にとって、マクロスの必要性について皆無に等しい。…
 そして、これをもって、和平は決裂したのだった。

「短い平和でしかなかったか…」グローバル艦長は座したまま、小さく呟き、…決意を決めた声を上げた。
「マクロス急速発進、この都市宇宙船並びに地球この場を退避する!!」
 悲しみを込め、ただしがみつきたい望郷を持ちながらも振り切るように声を上げた。
 緊急修繕を終えたマクロスが浮く。
 鎮座した事によって半壊した海上都市を残し、空へ舞った。
 その直後、…上空の彼方より光が都市に差し込む。
 その光が幾数本と降り注ぎ、肥大し…爆炎を上げる。
 ゼントラーディ軍による制空圏外射撃は、海上都市を飲み込み、爆炎の渦に包み、光の衝撃波を生む。
 その嘆きの光を背に浴び、マクロスは宇宙へと飛び立った。

 ゼントラーディとメルトランディという巨大な渦潮の巻き起こる所へ…
 木の葉の如きマクロスと、もっと小さな人類を乗せて…

 絶望にも近い逃避行を行うために…

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