=第九章・第三部=

=[超時空要塞MACROSS/ボドル基幹艦隊]=

 

 第一級戦闘配備のエマージェンシーコールが鳴り響く。
「…」ヴァルキリーに乗り込み、俺は、その音に憂いを覚える。
「この音を楽しく感じていた俺がいたんだな…」
 変わってしまった事への後悔を感じながら、苦笑をもらす俺がいた。
「こちらは、デルタ1」チェックを行う中、モニターにエマが映る。
「ブリーフィング(作戦行動紹介)を行います。今回の任務には、反応兵器の使用が認められています」
 エマの言葉に「反応兵器」という単語が出た事で、事の大きさを再認識する。

 反応兵器とは、より小さな物質でもって純粋なる強烈な炸裂力を持たせた爆弾である。
 俺たちの乗るヴァルキリーの原動力となる熱核を用いたもので、核爆弾と性質は似ているものの、その精製法等はまったく別のものと思ってもいい。
 そして、反応兵器が戦闘機につめる中で、もっとも強力であり、近距離で使用した場合の自爆する弊害が起きやすい兵器とも言えるだろう。

「各機体に四発の反応兵器を搭載しており、その一発は、非常に強力で広域を攻撃します。使用には注意をしてください」
「使わないに越した事はないが…、ようは対戦艦用って事だろう?」
「…それは各隊の判断に任せます」
「エディ、面白そうだからってやたらに撃つなよ、ブルースにもとりあえず、念をおしとくがな」
「隊長、それはないですよ」「アポロ2、肝に銘じておきます」
「まだ、途中ですよ」エマは少しだけ頬を膨らましてみせながら、俺の言葉に割り込んでくる。
「今回の任務は、マクロスの逃走経路の確保となります。指示された空域に飛んでいただき、各個敵の撃破をお願いします」
「………」そのエマの言葉に俺は口を軽くつぐむ。
「逃げたとして、どうなるんだろうな…」
「アポロリーダー」
「逃げた先に何があるんだ。もしくは、あの巨大な軍から逃げれるのか…そして、この基幹艦隊とてたかが一陣。…この宇宙には、おなじ艦隊サイズの巨人軍団がいるんだろう…」
「やけに弱腰な発言ですね…アポロリーダーらしくないですよ。…約束、守ってくださるんでしょう…」
「…」
 エマの最後の一言に「あんな事、いわなきゃよかったかな?」と、返答してみせ、最後にこう綴った。
「弱音の一つでも見せて、俺が普通の人間だってのを、見せとこうと思っただけさ…」
 ヘルメットをかぶる。
「ブリーフィング内容、了解。アポロ小隊、作戦に移る。アポロ2、3、用意はいいな」
「2、任務了解」「3、華々しく決めてやろうじゃないですか!!」
「2、3、俺からの今回の最重要連絡事項だ…」意気込み揚々の二人へ俺は一言だけ告げる。
「死ぬなよ…」

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