=第十章・第一部=

=[超時空要塞MACROSS/ゴル・ボドルザー]=

 

 たった、一年と少しだ…
 たった、一年と少しだけで、俺たちの住む世界は変わった。
 変わるはずのないと思った青空は失われ、戦場と無縁と思えた宇宙は爆炎に染まり、人種の違い、宗教の違い、風習の違いで、いがみ合っていたはずの人間が力を合わせ、巨人に挑む。
 地球の歴史に比べれば、人間の一年など、刹那なものであって、…それでも、その時を精一杯に生きる人間がいる。
 
 そして、人間の存亡となりうる直面の刻が…こくこくと近づいていた。

「絶望も嘆きも…後回しだ」管制室の横につき、モニターを通して、エマに語る。
「あいつらも軍人だ。…運命で片付けるつもりはないが、こうなる事は、本人達も心にあっただろう」
 エディとブルースの死を知るエマは俺の話に聴き、無言で見つめ返す。
「これが戦争という戦いだ。失う物はあっても、生まれるものはない…。生きるために行う狩猟という戦いとは違う。ただ、失うために戦う。…非生産な行いさ…」
 周りを固める巨人達の荘厳なる風景を見つめながら、うずく頬を撫でるようにその部分のヘルメットへ手の平を押し付け…最後に言葉を綴った。
「それを楽しんでいた1年前の俺は、…本当に阿呆だと…いまさらながらに感じるよ」

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