=第十章・第二部=

=[超時空要塞MACROSS/ゴル・ボドルザー]=

 

 マクロスを中心に離叛したゼントラーディと同調したメルトランディの軍勢とあくまでボドル旗艦に従うゼントラーディとの戦闘が始まった。
 巻き起こる旋風に両群は次々と落ちながらも、マクロスの持つミンメイの歌により、ボドル軍勢は翻弄され、徐々にその戦域を狭めていく。
 そして、ボドル旗艦にと同盟軍勢は取り付き、更なる過激な戦闘が巻き起こる。
 全長600kmを誇る帽子型のボドル旗艦にとって、同盟軍勢など手の平で踊る者達とばかりに、長大な壁面より光線を打ち込み、同盟軍勢を打ち落とす。

 細かに飛ぶパワードスーツも、戦闘機も、戦闘ポッドも、ヴァルキリーも落ち、
 なんとか一矢を報いるべく、砲撃艦が口を開き、放電を開始するも、そのブリッジが焼かれ、落ちていく。

 熾烈極まりない戦闘が続き、疲弊感が少し出始めた頃、…スイッチが入ったかのように、状況が一変した。
 きっかけは、メルトランディの砲撃艦が辛くもボドル旗艦の攻撃を掠め、落下しながらも、その砲撃を旗艦に打ち込んだ事にある。
 その砲撃によりボドル旗艦の一角が誘爆し、その壁面全てを焼いた。
 それを見逃す事無く、全長4キロメートルに及ぶブリタイ艦が接艦、長大な放電板を開き、そして、降り注ぐ光線を浴びながらも、強烈な一撃を放った。
 もちろん、艦の全長を対比すれば、蚊のようなたいしたダメージではない。…が、その砲撃により、マクロスほどの艦ならば内部進入の可能な壁面に穴を穿ったのだ。
「マクロス!全速前進!!」グローバルの命令が飛んだ。
 穿った穴を目指し、脚部のメインノズルをふかす。マクロスが急速に加速し、そして、…ボドル旗艦の中への進入に成功した。

 ボドル旗艦は、通常の鉱石物類でできていないらしく、その内部構造は格子状で、蜂の巣のようにも感じる。
 その中を突進で引き裂き飛ぶマクロス。
 マクロス管制塔前には、俺と輝が陣取り、ガンポッドでそれを打ち払う。
「目標、中央機関まで後5キロ、前方に壁面があります」ヴァネッサの指示に未沙がうなずいた。
「ヴァルキリー部隊、デストロイド部隊、前方の壁面を攻撃します。ミサイル一斉発射準備…発射!!」
 彼女の指示と共に、艦外に取り付くデストロイド、ヴァルキリーが砲門を開き、残されるミサイルが目指すべき終点へと打ち込まれた。
 幾百ともいえるミサイルが尾を引き、いくつかは格子状物質にあたりながらも、壁面へと飛ぶ。
「全艦ショック耐性!!突撃!!」暗闇の奥でミサイルの弾ける閃光が絶え間なく広がる元へ、グローバルの指揮の元、マクロスが飛び、そして、その船首にて突入を行った。

 …ゴ、ゴゴゴ〜ン

 壁を突き破り、…胴体を内部機関へと埋没させ、そして、マクロスが止まった。
「…見えた!!」俺と共にマクロスブリッジ壁面に着く輝が叫ぶ。
 中央機関となるひし形状ブロックの区間が眼前に広がる。この戦いの全ての終点、ボドルザーの居住区。
「…」
 俺は軽く、ミンメイの立つステージを見た。
 彼女は、様々な攻撃衝撃を受けながらも、マイクを握り、揺らぐ事無く、歌い続ける。
「…ふっ、肝っ玉の強さは軍人以上のお嬢様だぜ」
「アポロリーダー」
「ああ、分かってる」
 輝が叫び、バトロイドの手で俺を手招く。
「アポロリーダー、これよりボドルザー撃破任務を遂行!!いってくる!!」
 いち早くファイターと化して飛び立つ輝を見た後、モニターに映るエマへそう告げ、俺もバトロイドからファイターに変わった。
「アポロリーダー、…」急速に小さくなるマクロスの姿をバックミラーが映す中、エマの通信が帰ってきた。
「もしもの答え、…待っています」
「…」その言葉に俺は口を閉ざす。そして、モニター越しに笑った。
「俺も全てに決着をつけてくるさ。死神ともな…」

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