=第十章・第四部=

=[超時空要塞MACROSS/ゴル・ボドルザー]=

 

「うあ!!」
 輝も強烈な旋回をして、そこらじゅうより降り注ぐ光線を回避する。もちろん、俺も同じくだが…
「たくっ、癇癪女のゴキブリ退治だな…」
 ゴキブリを見つけたからといって、そこらじゅうに殺虫剤をばら撒くように、ボドルザーは自分の下部に内蔵された自動小銃を連撃する。
 一度でも、足を止めれば、即終了の勢いだ。
「…どうするかだな…」逃げながら、俺は思案する。
 ガンポッドの数発の威力では、ボドルザーを守るケースは破れない。
 かといって、ミサイル攻撃を行うには、少々フロアが狭すぎる。
 今回の推進剤をつめた宇宙空間用プロペラントタンクは、通常のマイクロミサイルパック搭載のみのファーストパックではなく、二連装の高出力ビーム砲を備えたストライクパックではある。
 だが、その砲口を正面へ立て直す間に狙われるかもしれない。
 今はまだ、二機で飛び、かく乱をする形であるのが幸いして、なんとか保っているところだが…
 あの場に残っているマクロスを思えば、時間はない。
「…あるとすれば、…!」思案、…それが一瞬の油断となった。
「うお!!」
 上へと逃げ飛んだ先に、ボドルザーの垂れ下がる触手が迫る。
 主翼の先につくスラスターを吹かせるも間に合わず、その右の翼を凪いだ。
「アポロリーダー!」
 輝の声が耳に響く。
「くっ!!」操縦性を失ったヴァルキリーの後部よりボドルザーの放つ光線が迫る。
 ストライクパックを切り離しつつ、残った左のスラスターで機体を回しながら、バトロイドに変形し、対ショック耐性にうつる。
 瞬間、光線が機体を掠め、残ったストライクパックを打ち抜いた。
「ぐああ!!」
 パックに内蔵されているマイクロミサイルが誘爆し、近距離で強烈な爆風と爆炎が起こり、機体を焼き、強烈な衝撃によりエマージェンシーコールが鳴り響く中、機体に内蔵されたコクピットが揺れる。
「おい!大丈夫か!!」
 輝の声が耳に響く中、衝撃で鞭打ち感を感じる頭を支え、状況の確認を行った。
「アポロリーダー!!」
「なんとか、いきてる…が…」
 未だ視界が煙にまみれ、良好でない中、俺の機体の状況の最悪を知った。
 両翼は死んでいた。兵装も吹き飛び、ガンポッドも捻じ曲がっている。残るのは、…
「本機胴体のみか…」
「返事をしろよ!」
 しつこい輝の声に笑みが漏れる。

 …このまま、癪なまま、…死ぬのはごめんだな…

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