=第十章・第五部= =[超時空要塞MACROSS/ゴル・ボドルザー]= |
「こちら、アポロリーダー。スカル1へ…」 「生きてるのか!?」 「後は任したぞ…」 無重力の中、四散し薄くなる煙の奥にボドルザーが見えた。 「なんだって!」 「俺の作りかけのヴァルキリー、お前にくれてやるって言ったんだ。一条…」 …残されたのは脚にあたるメインノズルだけだった。 「まさか、待てよ!」 「最後の一兵になっても、死ぬまで戦うのが、軍人ってもんだよな…」 ……そう、答えは簡単だ。…俺がこの機体に残った力を使って、あいつに体当たりでもかませば、勝機が生まれる。 「死神が天に戻るだけさ…」 ………ボロボロの機体をバトロイドから翼を失ったファイターに変形させる。 「待てよ!!アポロリーダー」 「…なあ、死神よ。これでいいんだろう?」 …………残された推進剤をメインノズルに送り、一気に加速させる。 「てめえ、ほしかったんだろう?俺の命、…敵の総大将もプレゼントしてやるぜ」 ……………薄まる煙を切り裂いて突撃をしてきたヴァルキリーにボドルザーも気づき、俺へ砲門を向けた。 心の中で死神がいやらしく笑った。 …………放たれた光線が急激な加速で動いた俺のヴァルキリーの影を射抜く。 −ナンダ ジゴクノモン ハ アケッパナシ ニ スルンジャナカッタノカ シバラクハ ナ ………接触を回避せよというエマージェンシーコールも鳴り響きだす。が、主翼のスラスターもストライクパックのスラスターを失い、メインノズルの噴射変更部さえ壊れ、機体に軌道変更はできるはずもない。だが、俺にとって、それは構わない事実だ。 「ふ…」死神の笑みに俺は笑顔を返した。 ……そして、機首がボドルザーを守るケースにぶつかった。 「馬鹿野郎ー!」輝の絶叫が俺の耳に届いたかと思うと、雑音にかき消され…。 …眼前のコクピットがつぶれ、俺の体が押しつぶされる感触が伝わり…ボドルザーの驚きの表情が眼に焼きつく。 そして、俺のヴァルキリーは、強烈な爆炎に、包まれたのだった。 |