=第十一章・第一部= =[超時空要塞MACROSS/その先に…住まうもの]= |
医者の手厚い療養と皮肉を聞かされながらもベッドの一ヶ月を凄し、それからのリハビリで悪態をつきつつも、ゼントラーディ技術の応用で手に入れたクローン脚をならしていく。 少々、筋肉のそげ落ちばかりが気になるが、…至って健康体で退院が出来たのは、それから半年はかかった。 軍部への復帰…。そこに知る影は少ない。あの戦闘により、多くの仲間が死傷した。 一条輝は、その中でも唯一の知り合いとも言えるだろう。 俺の復帰を笑顔で喜び、軽くだが、酒も一緒に飲んだ。 その輝とも、しばらく…あってはいない。…彼自身、新ヴァルキリー[VF-4]開発に携わり、そのテストパイロットとして、活躍しているようだ。 統合戦争の後のような戦闘への渇望はなかった。…軍部の活動にはマイクローン化したゼントラーディや落ち着きのないゼントラーディとのイザコザの仲裁を行う等はあるものの…、何か腑抜けたような毎日を送る。 エマ自身も今は忙しいようだ。 破壊しつくされた地球を戻すべく、マクロスに内在していた自然を広める計画[地球大気浄化計画]のため、日々奔放するヴァルキリーの指示についているようだ。 ベッドの療養をしていた頃、数度、足を運んでくれたが、…今は廊下ですれ違う程度だろう。…話はしていない。 いや、…俺自身が彼女を避けているのかもしれない。 朽ちた体をさらす事が… ヴァルキリー乗りとしての体躯を失った事が… やはり、俺自身、許せなかったから… 俺自身に…彼女を守るほどの力がなくなっていた事が… ただ、無性に情けなかったから… |